イントロダクション
15回目となる「映画と話そう@TAMA」は、長編ドキュメンタリー 『破片のきらめき~心の杖として鏡として~』(2008)に登場する画家の故石原峯明さんに焦点を当てた特別編(2017)を上映。
特別編は上映時間75分の同作をベースに95分に再編集した作品です。
また高橋愼二監督を迎え、懇親会を行います。
『破片のきらめき~心の杖として鏡として~特別編』
(2017/BD/95分)フランス・ヴズール国際アジア映画祭・観客賞/ドキュメンタリー最優秀作品賞受賞。
「病む」とは何か
「表現」とは何か
自らを曝け出す事で楽になる
認められようが認められまいが、これが俺の仕事だ
「生きる」とは何か
困難な時を生きるすべての人たちに
精神科病院内のアトリエに通う人々を10年以上の歳月に亘り記録した作品。カメラは、自身の心の内をひたすらに見つめ、表現と向き合う人びとの姿を、克明に映し出す。
「病んでいると言われているうちに描くのは実は千載一遇のチャンスなのだ!芸術とは治ってはいけない病気なのだ。」
現代社会の中で見失いがちなものに気づかさせてくれる珠玉のドキュメンタリー。
ナレーションを女優の吉行和子が務めている。
12月2日土曜日 タイムスケジュール(開場15分前) |
15:00 『破片のきらめき~心の杖として鏡として~特別編』上映 |
17:00 懇親会 1時間 高橋愼二 監督 |
入場料:¥1,000(定員20名) |
懇親会:1ドリンク軽食付き¥2,000 |
会場内飲食:ドリンク250~500円、スナック100円~ |
※価格は全て税込、全席自由 |
会場:シネマカフェバー・モンキーランド |
多摩市豊ヶ丘1-11-1 (小田急・京王多摩センター駅東口から徒歩15分) 詳細地図と写真による道順 |
予約: | ネット予約は終了、お席は若干ございます。お問合わせは下記電話へ |
チラシ(pdf 421K) |
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主催: | たえのは 電話:050-5891-1977 |
『破片のきらめき』 スタッフ ・ 出演
スタッフ
撮影・監督・編集: 高橋愼二
プロデューサー: 中村 等
ナレーション: 吉行和子
作曲: 長谷川亮介
編曲: 石原眞司
音楽効果: 田辺信道
録音: 田高伸悟
照明: 城所美和
出演
安彦講平/名倉要造/本木 健
江中裕子/佐藤由幸/島崎敏司
石川理恵/宇野 学/石原峯明
谷本光隆/長谷川亮介/石澤孝幸
竹原由貴/中野幸治/本多桃子
ホームページ映画「破片のきらめき」オフィシャルサイト
<ストーリー>
精神科病院の中にある造形教室。
このアトリエには様々な困難を抱えながら生きている人たちがやってくる。アトリエを主宰する安彦講平さんは、彼らに寄り添って40年、共に在る、かけがえのない創作の場を創り出してきた。
カメラは、彼らとの10年以上にわたる交流をへて、現代には稀に見る“魂の創作の場”を捉えた。
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若い頃、画家を目指していたアトリエ最長老の石原さん。長い入院生活の中で一度は捨てようと思った絵を描く事への情熱を、アトリエに来て再び取り戻します。今では絵を描く事は「認められようが認められまいが、これが俺の仕事だ」と言いきります。
子供の頃からの強迫性障害を抱えている本木さんは、アトリエに来て初めて絵を描き始めました。ある時、それまで好んで描いていた明るい彩りの絵に斜めに傷を入れてみました。 何故かほっとしました。それからは自身の症状を克明に描いた「宿痾(しゅくあ)シリーズ」を描き続けています。
毎週行われる合評会で詩の朗読とギター演奏を行うのは江中さんと長谷川さん。ギターは得意な長谷川さんですが絵にはなかなか自信が持てません。先輩たちにいろいろアドバイスを受けますが創作の悩みは膨らむばかりです。 試行錯誤の中で絵が描けない日々が続きます。江中さんたちの見守る中、とうとう長谷川さんは鬱症状が深まって入院することになりました。
佐藤さんが父親に連れられてアトリエにやってきました。かつて、いじめにあって調子を崩したと言う佐藤さん。安彦さんやアトリエの仲間たちとの交流の中でやっと自分の居場所を見つけることができました。今では活発に創作活動に励んでいます。
退院した長谷川さんが自宅で描いてきた作品を持って来ました。江中さん、谷本さんがその絵を見て感嘆の声を上げます。「よくやったね!」 谷本さんの励ましに、それまで笑顔のなかった長谷川さんに笑みがあふれます。
谷本さんはプロの画家を目指しています。今、銀座の画廊から個展の話が持ち上がりその為の新作に取り組んでいますが、精神障害者の作品という目では見てほしくないと語ります。
ある日、突然江中さんが入院したという知らせがありました。薬を多量に服用してしまったための緊急入院でした。メンバー達が心配する中で長谷川さんは江中さんのために絵本を作り始めました。
完成した絵本を持って長谷川さんは江中さんの入院している病院を訪ねました。絵本には江中さんを主人公にした御伽噺(おとぎばなし)が書かれています。絵本を読む江中さんの目からはおもわず涙がこぼれ落ちます。
展覧会で、入院中の江中さんに代わって本木さんがメンバーたちの心の叫びを綴った詩「或る決意」を朗読します。
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懇親会 ゲストプロフィール
高橋愼二 (たかはし・しんじ) 監督
今から23年前、安彦講平さんと出会ったことによってこの造形教室を知ることになりました。この造形教室は精神科病院の中にあります。私は初めてその場に行った時、実に不思議な感覚にとらわれました。
そこには無造作に置かれながらも強烈な光を発している作品群と共に、“心の病”を抱えた人たちの醸し出す不思議な優しさをもった空気が流れていたのです。そして、何故かそこに居心地のよさを感じている自分がいました。
この感覚は何だろう? この「不思議な空気」とは一体何だろう? そんな疑問を解くための私の造形教室通いが始まったのです。
初めはカメラを持たずに通っていました。私はカメラマンという仕事をしていますが、当初、ここで撮影するということは考えられませんでした。
映像表現に携わる者であれば興味のある対象にはすぐにでもカメラを向けたくなるものですが、ここでは初めは撮るということは出来ませんでした。
精神科に通う人たちを撮ることの難しさ(症状との向き合い方やプライバシー問題など)も勿論ありますが、それよりも私自身の中に彼らを撮ることの確固とした目的が見出せなかったのです。
通いはじめて5年目に初めてカメラを廻す決心をしました。この造形教室が、現代社会では実に稀有な空間であるという事がだんだんと見えてきたのです。
これは記録しておく必要がある。そう決意してメンバーたちの許可をもらって彼らの活動を“記録する”という形で撮影を始めました。しかし、実は私の中にはもうひとつの撮影の目的があったのです。
それは、私がアトリエで最初に感じたあの「不思議な空気」とは一体何か? その疑問の答えをカメラを廻すことによって見つけられるかもしれないと考えたのです。
彼らに寄り添い、そして撮影する。撮り始めると手応えを感じました。撮影を通じた彼らとの新しい関係が始まったのです。
この映画は、あの「不思議な空気」とは何かを、このアトリエで描かれた数々の作品群と、そこに生きる人たちの姿を通して見出そうとします。
『破片のきらめき~心の杖として鏡として~』予告編
映画と話そう@TAMA